刺青問題と金春湯②

 

前回の記事「刺青問題と金春湯①」で、全国通訳案内士試験二次口述の実務質疑の「刺青問題」を取り上げました。

刺青のある外国人観光客が公衆浴場を利用できるようにする方策、が問われるものでしたね。

銀座にある銭湯「金春湯」(こんぱるゆ)は、刺青OKの施設です。

実は、私が今年の6月に金春湯に迷い込んでしまった際、刺青のある方2、3人と混浴でした(汗)。外国人ではなく、日本人のお兄さまで、刺青もガチの和彫りが前身に入っている人たちでした。

他にあまりお客もおらず、それほど大きくもない浴室の中だったので、やっぱり私は、ちょっとプレッシャーを感じました(笑)。

ただ、この人たちは、刺青があること以外は普通の人のようでした。ご自分のお子さんとみられる2、3歳ぐらいの幼児連れで、番台のおばさんとも、親しげに話していました。

実務質疑に出てくる「イレズミは文化的問題であり、刺青=反社ではなく、差別は良くない。でも、実際に刺青を怖がるお客様がいるのも事実であり、刺青禁止ポリシーにも理由がある」という説明が、自分の体験を通じ、まさに腑に落ちた思いです(笑)。

それにしても、金春湯はいろいろな意味で稀有な存在だと思います。幕末(1863年)から現在にまで続く伝統的銭湯が、今や世界一地価の高い銀座のど真ん中にあるのですから。

料金は普通の銭湯と同じ500円です。今やあまり見られなくなった風呂屋の番台に、おばさんが座っています。天井が高く2フロアー分のスペースを使っているのも、地下の高い銀座ではかなりの贅沢といえます。

伝統的でかつタトゥー・フレンドリーだということで、外国人観光客に対しても、紹介されています。下は、あるサイトの説明です。和訳はChatGPTにお願いしました。

This bathhouse first opened in Ginza in 1863, during the dying days of the Edo period, and it hasn’t made much effort to update its retro stylings since. There’s an old-fashioned reception desk on the way in, and an impressive mural of Kutani porcelain tiles depicting carp, spring and autumn flowers and birds that you can enjoy while soaking in the tub. There are two baths, one pleasantly warm and the other heated to a fairly toasty 42° C. Twice a month they float flowers in the baths, so it’s worth checking the website before you go.

 

(この浴場は最初に銀座で1863年に開業し、江戸時代の末期にあたります。以来、レトロなスタイルを更新するための努力はあまりされていません。入り口には古風な受付デスクがあり、風呂に浸かりながら楽しめる鯉や春や秋の花、鳥を描いた九谷焼のタイルの印象的な壁画があります。温かみのある一つの浴槽と、かなり温かい42℃に加熱されたもう一つの浴槽があります。月に2回、浴槽に花を浮かべるイベントも行われているので、行く前にウェブサイトをチェックする価値があります。)

金春湯をはじめとする銭湯では、季節ごとの薬草湯をイベントで行います。5月の菖蒲湯、12月の冬至のゆず湯、などですね。

「銭湯」「冬至」(共に2015)や「ゆず湯」(2020)は、ガイド二次のプレゼンに出題があります。

  オンラインストアで販売中。

このように、過去問が「ヨコにつながる」ようになると、質疑やプレゼンにおいて、話題に困らなくなります。

ちなみに、金春湯の「金春」は、金春湯がある通りの名前「金春通り」に由来します。

金春通りは、江戸時代に能楽の流派「金春流」の屋敷があった場所です。

日本の伝統芸能である「能」は、通訳ガイド試験でも頻出の事物です。

まさに、金春湯はガイド試験的にも「使える」といえそうですね。