刺青問題と金春湯①

 

全国通訳案内士試験二次口述の実務質疑の頻出問題類型に、ご存知「刺青問題」があります。

外国人観光客の中には、単なるファッションとして刺青をしている人がおり、日本の公衆浴場では、刺青のある人の入場を断るポリシーを採用しているところがあるところ、これを外国人観光客に説明し、納得してもらい、刺青のある人でも入浴できる対応策を考えさせる、というものですね。

過去、2018年度(時間帯4と5)と2021年度(時間帯2)に出題されています。以下、『2018-19全国通訳案内士試験二次口述 過去問詳解ダイジェスト』より引用します。

【シチュエーション】
お客様は、温泉の大浴場に入るのを楽しみにしてきましたが、お客様全員に刺青が入っているため、大浴場への入場を断られました。あなたは交渉しましたがダメでした。どうしますか。

【条件】
入浴予定だった施設に、事前に刺青のあるお客さんがいることを交渉していたが、拒否されていた。

   

まず、刺青のある人の入場が断られる理由の説明が必要になります。『2020-21全国通訳案内士試験二次口述 過去問詳解ダイジェスト』より引用します。

This policy is based on cultural attitudes. Although they appreciate that there are cultural differences, facility operators have to deal with the reality that many Japanese feel nervous around people with tattoos because of their association with organized crime.

(これは文化的な理由によるものです。施設の方も、文化の違いについては理解していますが、日本人は、刺青が組織犯罪を想起させるものであることから、刺青のある人に近寄ることを避けたがる場合が多い、という現実に対処する必要性があるのです)

次に、解決策ですが、次のようなものが考えられます。

1.ステッカーで刺青を隠す

2.貸切風呂を利用する

3.刺青OKの施設を探す

4.湯あみ着

上記のうち、3の施設の具体例として使えるのが、実は以前、このブログでご紹介した銀座の「金春湯」です。

銀座でテルマエしてみた!(2023/6/5)

銭湯「金春湯」をプレゼンしてみた!(2023/6/7)

今年の6月、東京に「線状降水帯」が発生し、大雨が降った際、私が銀座で雨宿りをする場所を探していたら、まるでタイムスリップしてしまったかのように、何と1863年の江戸時代、160年前から続く銭湯に迷い込んでしまった、というお話です。

前回は、ここで刺青の人と「混浴」した話はしなかったので、今回、ご紹介したいと思います。

(つづく)