日本語リスニングの力!

全国通訳案内士試験二次口述で出される「通訳(外国語訳)課題」。130字程度の日本語の読み上げを聞いて、それを英語に口頭で訳す、という課題です。一見、簡単そうに見えて非常に難しいタスクです。

私は常々、この課題で重要なのは「英語力」ではなく「日本語力」である、と主張しています。

訳す対象は何か、これをしっかり把握することこそが通訳の大前提だからです。

そのためには、日本語を正確に聞き取る力、つまり「日本語リスニング能力」が最重要です。

そして、私は「日本語の聞き取りさえできれば、それを英語で言うことはできる」と言います。

こういうと普通の人は次のように言います。

「私は日本語が母語だから、日本語の聞き取りはできている。それなのに通訳できない。おかしいではないか」

はい、それは「聞く」という行為の中身が違うのですね。私が言う「日本語の聞き取り」とは、日常の「聞く」とは異なる「通訳聴き」のことです。

通訳聴きとは、簡単にいうと「話者と同一になるレベルまで内容を理解し覚える」ということです。

この理論が正しいことは、「リプロダクション」をしてみるとわかります。

 

私は、この「日本語の聞き取り能力」(通訳聴き)を強調するために、さまざまな表現、キャッチフレーズを用いています。

・通訳とは、「聴く」ことと見つけたり

・通訳とはイタコである

・通訳者は話者に変身する

・日本語の聞き取りさえできれば、必ず訳せる。日本語を聞き取り損ねれば、どんな名人でも訳せない

・殴られても気が付かないくらい集中して聞くべし

・通訳には、日常生活の3倍の集中力が必要である

・通訳は、聞き逃したらまた来年

・通訳とは、非日常的行為の束である

・マルチタスクに耐えられるよう、脳のCPUをアップグレードする訓練が必要

 

この件の詳細については、「二次口述特別動画セミナー」の「通訳理論編」で詳しく解説しています。興味がある方はご覧ください。

テキスト付きでお得です。

PEPのオンライン個人レッスンを受講される方には、「二次口述特別動画セミナー」の受講を必須とさせていただいています。

オンライン個人レッスン受講者の方々は、私のこの理論解説をよく理解していただいているようです。

通訳演習をする際、私が問題を読み上げて出題する際、受講者の方々の集中力の度合いが、オンラインを通じて伝わってくるのです。

パソコンをフル稼働させると熱が発生するように、受講者の方々の頭から湯気が立ち上っている様子がよくわかります(笑)。

こうして正しい方法で効率よく上達していただくと、私も努力が報われたことになります。