とりあえず3回アイコンタクト

全国通訳案内士試験二次口述のプレゼン課題は、パブリックスピーキングの技術が試されます。

パブリックスピーキングでは、単に内容の正しい文章をアウトプットするだけでは足らず、それを対面で効果的に伝える必要があります。

対面で効果的に伝えるための要素は、①言語面(語彙・表現の選択等)、②音声面(発音や発声)、③非言語面(ジェスチャー、視線、服装、態度等)、などです。

こうした要素を一定の時間内でコントロールすることが求められるのですから、プレゼン課題では、高度の技術が必要です。これを習得するには、かなりの練習量が求められます。

試験直前期になると、私の個人レッスン受講者の方も、仕上げの段階に入ります。

内容については、書籍『過去問詳解』で学んでいただいているので、すでにバッチリです。

専用の動画2分タイマーを利用して演習していただいているので、時間感覚も習得され、多くの方が、時計なしでもピッタリと1分50秒あたりで話を締めくくることができるようになっています。

ただ、これにさらに「時々は聞き手と視線を合わせるようにしてください(アイコンタクト)」と課題を追加すると、すぐにはできない方もおられます。

こんなとき私は、「とりあえず、プレゼン中に3回、相手と視線を合わせるようにしてみてください。ずっと目を見る必要はありません」のようにヒントを出します。

3回の1回目は、トピック告知のタイミングです。I’d like to talk about…の時ですね。

この時には、試験委員は「この受験者は3つのトピックのうち、どれを選んだのかな」という心的態度で、その答を待ち構えています。まさにその構えに対し、選んだトピックを受験者が「投げ込んで」いくのです。

そうすれば、確実に受け止めてもらえるでしょう。受験者が I’d like to talk about KYOTO. と言えば、試験委員は「おお、選んだのは『京都』か。よし分かった!」とうなずいてくれるはずです。ここで目が合うと、効果的にコミュニケートできます。コミュニケートとは、情報を共有し、その事実を確認することだからです。

2回目は、スピーチの本体のどこか、真ん中あたりのタイミングで、そして、3回目は結辞の部分(ご清聴ありがとうございました)で目が合うといいでしょう。