「日本はユニーク」は危険!?

全国通訳案内士試験は、日本文化を外国語で伝える仕事の国家資格を付与する試験です。

よって、しばしば「外国はこうだが、日本はこう」という比較が登場します。

本試験も伝統的に、いわゆる「日本人論」が大好きで、よく出題されます。一次筆記試験ではこれまでルース・ベネディクトの『菊と刀』、中根千枝の『タテ社会の人間関係』、土居健郎の『「甘え」の構造』という、いわゆる古典の三部作が出題されたことがあります。

また、李 御寧の『「縮み」志向の日本人』、エドウィン・ライシャワーの『ジャパニーズ』も、出たことがあります。

これらの名著は、通訳ガイドの教養となるものであり、興味深いものばかりです。

ただ、ガイド試験受験者が日本文化を誇りに思うあまり、「日本文化はユニークです!」と安易に言い過ぎると「危険」な場合があります。すなわち、外国人には「俺たちは特別なんだ!あなたたちとは違う」というふうに聞こえてしまうことがあるからですね。

unique という単語をオックスフォード辞書で引くと “being the only one of its kind; unlike anything else” とあります。かなり「いい意味」ですね。 different にも同じようなニュアンスがあります。

つまり、”We are unique.  We Japanese are different!” と言うと、威張っているように聞こえてしまうのですね。

よって、これを言われた異文化の人は、In what sense are you saying that the Japanese are so unique?” と論証を求めてきそうです。

これに対して、相手が知的に納得し、かつ雰囲気も壊さないような答えをするのはなかなか困難です。

「ラーメンは中国に起源があり、日本でユニークな発展を遂げました」(Ramen originated in China and developed in a unique way in Japan”)ぐらいのことは、言っても大丈夫です。これは、ユニークという形容詞を付する対象が「ラーメン」という狭い概念であり、論証が比較的容易だからです。

これに対して、「ユニーク」という言葉の後ろに「日本文化」や「日本人」といった「広い」概念を持ってきてしまうと、論証しきれず、ただ根拠なく自慢をしただけ、ということになってしまうことがあります。

言葉を使うプロは、言葉の意味を知り、用法を知り、そして論理と感情に気を配る必要がありますね。