全国通訳案内士試験合格後の起業2

前回の記事で、私は全国通訳案内士試験に合格した後、取得した資格を生かして何らかのビジネス(副業含む)をする場合には、「起業家精神」を持つことが大切だと述べました。

この「起業家精神を持つ」とは、自分が1個の事業体となる、という意味です。つまり、通訳ガイドさんは、「通訳ガイド」サービスを提供する企業であり、顧客(外国人観光客)に価値を提供して利益を得る旅行会社等と同じレベルの立場である、という考え方です。

さて、事業を自分で行う場合、大切なことが2つあります。それは、①提供する商品を作り、この質を高くすること、そして、②これをプロモート(集客)することです。

この2つをカバーするために非常に有効な方法として、私はYouTubeの投稿をお勧めします。

具体的に言うと、日本各地の観光地その他、外国人観光客の興味の対象となり得るもの(まさに全国通訳案内士試験に出題される事物)を英語で紹介する動画を作成し、これをYouTubeで公開するのです。

こうすることにより、まずガイディングを含むプレゼン能力が向上します(①を充足)。そして、YouTubeは世界中から見てもらえますから、よい動画には世界中からファンが付く可能性があります(②を充足)。

そして、これはおまけですが、YouTube動画は、広告を付けることにより広告収入を得ることもできます。

できれば、YouTubeだけでなく、ブログやホームページを起ち上げ、文章や画像等も含め、いろいろな形で発信活動を行うとよいでしょう。こうした「資産」は、どんどんネット上に蓄積していきます。

そして、この発信基地のURLを名刺に印刷し、これを自分がアテンドした外国人観光客に配るのです。つまり、「よければ、また私をどうぞ」ということですね。

エージェントを通じてアテンドした外国人観光客相手に、こうした営業活動を行う(「今度は直で私をどうぞ」ということ)ことを禁じるエージェントもいるようです。

まあ、嫌がる気持ちは分からないではありませんが、この禁止には基本的に法的拘束力がありません。たとえ、そうした契約書を交わしていたとしても、公序良俗違反で無効になる可能性が高いと思います。

通訳ガイドには営業の自由がありますし、顧客には選択の自由があります。一生懸命にガイドが顧客に尽くした結果、顧客がそのガイドを評価し、次回も指名する、ということを志向するのが、悪いこととは思えません。

もっとも、直取引を禁じるエージェントにあからさまに逆らえば、爾後、そのエージェントから仕事が来なくなる、ということはありえます。そこは自己責任でやらなければなりませんが、少なくとも倫理的・法律的にひけめを感じる必要はないと思います。

(続く)