「訳さない」という訳し方

英語では「因果関係を表す表現」と呼ばれるものがあります。学校英語、受験英語でも教えられています。

「Aが原因でBという結果が発生した」という内容を英語で表す場合に用いられます。

そして、これらは通訳をする際にも役立ちます。そのために前提となるのが「通訳聴き」であり、原日本文を聞き取って分析し、Aに該当する部分と、Bに該当する部分を把握する必要があります。そうすることにより、これらの表現を活用することができます。

さて、因果関係を表す表現とは、たとえば次のようなものです。

1. lead to — 「~を引き起こす、~につながる」

例文: Heavy rain led to flooding in the city.
(大雨が原因で市内で洪水が発生した。)

2. result in — 「~という結果になる」

例文: Poor planning resulted in a failed project.
(計画不足が原因でプロジェクトは失敗に終わった。)

3. cause — 「~を引き起こす」

例文: Smoking causes lung cancer.
(喫煙は肺がんを引き起こす。)

4. bring about — 「~をもたらす」

例文: The new policy brought about significant changes in the education system.
(新しい政策が教育制度に大きな変化をもたらした。)

5. be due to — 「~が原因である」

例文: The delay was due to bad weather.
(遅れは悪天候が原因だった。)

6. as a result (of) — 「~の結果として」

例文: The factory closed down. As a result, many workers lost their jobs.
(工場は閉鎖された。その結果、多くの労働者が職を失った。)

7. because of / owing to / thanks to — 「~のために/~のおかげで」

例文:

The match was canceled because of rain.
(雨のため試合は中止になった。)

Owing to technical difficulties, the train was delayed.
(技術的なトラブルのため、電車は遅れた。)

Thanks to her hard work, the event was a success.
(彼女の努力のおかげで、イベントは成功した。)

 

しかし、因果関係を表すにはこうしたフレーズを用いる以外の方法もあります。

元の内容

原因:Heavy rain(大雨)

結果:Flooding occurred in the city(市内で洪水が発生)

① 因果関係フレーズを使う

Heavy rain led to flooding in the city.

(大雨が原因で市内で洪水が発生した。)

② 分詞構文

Having rained heavily, flooding occurred in the city.

It having rained heavily, flooding occurred in the city.

(大雨が降ったので、市内で洪水が発生した。)

③ 何もしない(文を続けるだけ)

It rained heavily. Flooding occurred in the city.

(大雨が降った。市内で洪水が発生した。)

→ 因果関係は明示せず、聞き手の推論に委ねる。

④ 等位接続詞を使う

It rained heavily, so flooding occurred in the city.

It rained heavily, and flooding occurred in the city.

→ 「so」は結果を強調、「and」は単に並列だが文脈で因果を推測できる。

⑤ 従位接続詞を使う

Since it rained heavily, flooding occurred in the city.

Because it rained heavily, flooding occurred in the city.

→ 「~なので」と原因を明確にして結果を導く。

 

面白いのが、③の「何もしない」です。

「大雨が原因で市内で洪水が発生した。」を英語に訳しなさい、と言われた場合、「が原因で」の部分は「訳さなくても訳したことになる」ということですね。

なぜ、このようなことが可能なのか。それは、訳す人が原日本文を正確に聞き取り、因果関係を把握し、それらは単に並べるだけでも因果関係があることが聞き手に通ずる、と判断しているからです。

このように原日本文を分析分解すると、単文を積み重ねるだけで英訳することも可能になってきます。

単文は作りやすいし、文法的ミスも出にくい。よって、訳も成功しやすい。

結局のところ、通訳は「通訳聴き」に帰着する、ということです。

All in all, “listening” is the name of the game in interpreting.