全国通訳案内士試験二次口述の「実務質疑」(シチュエーション)課題には一定の類型があります。中でもよく出るのが「刺青問題」(2018、2021、2023)です。
「刺青問題」とは「外国人観光客を公衆浴場に連れてきたが、体に刺青があるゆえに施設側から入場を断られた。どうするか」という問題です。

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この問題への対応は、「刺青お断りポリシー」の理由を説明した上で、解決策を提案することになります。
まず当該ポリシーの理由としては「日本文化では、刺青は犯罪組織の構成員と結びつけられているから」となります。
ただ、実際の試験ではこれだけでは観光客を演ずる試験委員は納得せず「でも、ボクは犯罪組織とは何の関係もないよ!」とツッコミを入れてくるケースが多いようです。よって、ここでもう一言、理解を求めるための説明が必要となります。
この説明は、「確かにその通りです。お客さまが犯罪組織員とは何の関係もないことは、私も施設側もよくわかっています。ただ、日本では刺青と犯罪者との結びつきが非常に強いため、事実上、他の施設利用者を怖がらせてしまうという現状があり、施設側もこれに対処せざるを得ないのです。昨今は他文化からのお客さまも多く、そうした方々は犯罪とは関係ないことも知られていますが、『外国人の場合は刺青をしていてもOK』とか『和彫りはダメだがファッション性の高いタトゥーはOK』などの例外規定を作ることも難しいのです。どうぞご理解ください」のようになります。
こうした問題は、お客様側に「差別された」という感情が伴うため、やや長めの回答になるのは仕方がないと思います。

2018-19 全国通訳案内士試験 二次口述過去問詳解ダイジェスト
次に解決策ですが、定番は「刺青をシールで隠す」です。これは実際の温浴施設(スーパー銭湯など)でもよく見かけるポリシーですね。
ただこの場合、①施設がOKしていること、と、②刺青のサイズが小さめであること、の条件が必要です。
この点、2023年度の出題では「刺青のサイズは掌ぐらい」という誘導が付されています。
シールで隠すという方法が使えない場合は、「他の施設で刺青OKのものを探す」という方法があります。
この点、2018年度の出題で、先行する通訳課題の問題文に「最近では刺青があっても入浴ができる施設も出てきました」というヒントが示されていた例があります。
出題者側が求める答えは、過去問研究により知ることができます。
やはり、受験勉強は過去問に尽きるのです。

