日本語が聞き取れれば英訳できる

全国通訳案内士試験二次口述の「外国語訳」(通訳)課題につき、「だいぶんできるようになってきたが、まだ今一つ安定してスムーズなデリバリーができない」と悩まれている方もいらっしゃるかと思います。

こんなときは、一度基本に立ち返ってみることが有益です。

通訳の「基本」とは何でしょうか。

それは「聴くこと」です。日英通訳においては、原日本文(問題文)をよく聞いて、その内容を頭に入れることです。

私は、「二次口述特別動画セミナー」やYouTube等で、かなりの時間を割いてこの「聴くこと」の重要性を述べています。

しかし、最初はそれを意識していても、演習を進めるうちに徐々にこの重要な原則を忘れてしまうことがよくあります。

「聴くことの重要さを忘れた状態」とは、具体的には「メモに頼りすぎる」ことなどを指します。

言葉を話すときには、人間は頭の中にある情報を言語化します。

通訳は、他人が言ったこと(本来自分の頭の中にない情報)を話す活動です。よって通訳をする(話す)場合には、まず頭に情報を入れる必要があります。これが「通訳聴き」ですね。

よって情報の流れは、耳⇒頭⇒口、です。

しかし、メモに頼りすぎる(紙を媒介する)とこの流れが、耳⇒頭⇒紙⇒目⇒頭⇒口、となり、複雑化します。

この結果、訳がぎこちなくなるわけです。

こんなときの矯正法が「基本に帰る」です。具体的には「リテンション・リプロダクション」と「制限メモ法」を行うのです。

メモへの依存度を減らすのです。

通訳では、「知らない単語が出たらどうしよう」という恐怖が付きまといます。

しかし、実際には単語の問題は思ったほど大きくはない。知っている単語での言い換えが可能な場合が多い。

この「言い換え」を可能にするのも「聞き取り」なのです。

通訳は、日本文さえ聞き取れれば必ず訳すことができる。逆に、聞き取り損ねれば、どんな名人でも訳すことはできない。

問題文を聴く際には、この原則を自身に言い聞かせることをお勧めします。

これはスローガンですが、ちゃんと通訳の原理にしたがったスローガンです。

通訳のパフォーマンスは、結構精神的な要素にも左右されます。

「知らない単語」が出ても精神的ダメージを受けずに、引き続き「聴き取り」に精神を集中する。

通訳とは「聴く」ことと見つけたり!

“Listening” is the name of the game in interpreting!