実務質疑の考え方(2)

さて、前回(実務質疑の考え方(1))の続きです。フリマで購入した品物に欠陥があることを理由に返品を望んだお客さまの言い分には理があるでしょうか。

結論から言うと、これは「否」です。

なぜなら、フリーマーケットで売り買いする物は中古品だからです。

中古品は、新品(完全な品)と比べれば、程度の差はあれ、必ず一定の「欠陥」があります。そして、その欠陥の程度は、1つ1つ異なります。

つまり、この一定の欠陥がある物を売り買いするのだ、ということは売主・買主が共に最初から分かっていたことです。

よって、「欠陥がある」ことを理由に、買主が売主に落ち度がある、と言うことはできず、返品を要求することはできない、という結論になります。

民法では、これを「特定物」(この世に1つしかない物)、「不特定物」(大量生産の新品など、同じ物がたくさん存在する物)という言葉で説明します。

つまり、中古品(特定物)の売買においては、売主は「その物」を現状で引き渡せば義務を履行したことになり、債務不履行責任を負わない。よって契約解除(キャンセル・返品)に応じる義務はない、ということです。

ただ、そうはいってもこの欠陥が購入後に判明した場合は、買主ががっかりする気持ちもわかりますよね。

この点、民法はバランスを取って、買主が欠陥を知りながらわざと隠していた場合は、債務不履行を認めるとしています。

つまり、フリマでの売買は、基本的に買主の自己責任、だが、売主も正直にしなければいけない、という極めて常識的な結論となるわけです。

本問では、売主が特に欠陥を隠していたというような事情は見受けられません。また、フリーマーケットは特に特約として「ノークレームノーリターン」を定めている場合が一般的に多いようです。

そうすると、残念ながらお客さまの要望は否定となります。

では次に、具体的にどのようにお客さまに説明し、対応すればいいかを考えたいと思います。

(続く)