全国通訳案内士試験ガイドラインは、二次口述の評価項目として「発声」を明文で挙げています。
つまり、質量ともに聞きやすい声を出しなさい、ということですね。
我々は「試験」というと、どうしても「内容の正しさ」ばかりに意識が行ってしまいます。
一次筆記試験ならそれでOKです。しかし二次口述は「通訳案内業務の疑似」ですから、「伝え方(態様)」が非常に大切なのです。
では、質量ともに聞きやすい声とは何か、ですが、音量が十分であること(量)と、柔らかく心地よく響く声であること(質)が必要です。
こうした声は、パブリックスピーキングをする際に使う声です。おなかから息をコントロールし、声をのどの奥から胸で響かせるイメージの声です。この発声法で行うと、声帯に負担を懸けず、十分な音量でかつ聞きやすい声を出すことができます。
面接官ポスター(拡大印刷して部屋に貼りましょう!)

本試験では、受験者と試験委員の距離は2、3メートルぐらいにセットされていた、と報告されています。
この距離は、我々が普段、普通の会話をする際の距離よりも明らかに遠いといえます。パブリックスピーキングの場合、最後列の聴衆の30センチ後ろにある壁に到達させるつもりで声を出すとよい、といわれています。
そして、パブリックスピーキングに慣れていない方は、こうした声が出せるように、練習をする必要があります。
私のお勧め演習法は、モデル・プレゼンテーションの音読です。
3メートル程度離れた壁に「面接官ポスター」を張り付けて、その写真に到達させる声で、モデル・プレゼンテーションを音読する、それだけの単純な演習です。
モデル・プレゼンテーションは、ご存じ「ドリル式 モデル・プレゼンテーションBest集 Vol.3」が無料で入手できます。
決してのどに負担のかかる怒鳴り声ではなく、いわゆる腹式呼吸を用いた太くてよい声を出して「モデル・プレゼンテーション」を音読します。メンタル管理も重要なこの時期、声を出すのは、良い気分転換にもなります。
写真の代わりに、「演習タイマー」の動画(大型テレビにYouTubeを映し出すことができます)もいいでしょう。
PEPプレゼン演習カードと組み合わせれば、即興の練習と同時に行うこともできます。
