荒療治!「シティ」の発音矯正法

日本語には、英語の「city」という単語が外来語として定着しており、「シティ」と表記・発音され、よく用いられます(シティバンク、シティホテル、シティボーイ等)。

しかし、この「シティ」という言葉は、日本語として発音されると、英語の「shitty 」に極めて近くなります。このため、日本人の英語学習者は、英語を話すときに「city」を「shitty」 のように発音してしまいます。この「shitty」はやや汚い意味のある別の単語なので、「city」というべき場合に「shitty」と発音してしまうと、かなり問題となります。

たとえば、「アイ・アム・ア・シティボーイ」と発音すると、「私はシティボーイです」と言ったつもりで、実は「私はクソガキだ」と聞こえてしまいます。

相手を褒めるつもりで「ユー・アー・ア・シティボーイ」と言ってしまうと、ポカリと殴られてしまうかもしれません。

私は、個人レッスンを行っていて、受講者の方の中には、かなりの実力者でありながらこの「シティ」をやってしまう方が一定数おられることに気づきました。そこで、動画を作って注意を呼びかけました。

ここでは、問題点を指摘する他に、具体的な矯正方法も提示しています。矯正法とは、もちろん「city」の正しい発音方法です。

私はこの動画の中では「city」の発音が日本人には難しく、「shitty」と間違って発音してしまうので、「city」の正しい発音を練習すべし」と述べました。

これはこれで間違っていないのですが、これまで「シティ」と発音する癖の付いた学習者が、英語を話すときにきちんと「city」を発音するのが結構難しいのに気づきました。頭ではわかっていても、つい忘れてしまうのですね。

そこで、私は逆に「city」を正しく発音するために、あえて「shitty」という単語を繰り返し練習して覚える、という逆療法を思いつきました。ここでシェアします。

この方法は、「city」を間違えて「shitty」と発音してしまう人は、そもそも「shitty」という単語にあまりなじんでいない、という事実に立脚しています。俗語のやや下品な単語ですから、まじめな外国語学習者が真っ先に熱心に覚える単語ではないからですね。

そうすると、逆にこの「shitty」という単語(と発音)が、いかにお下品な言葉か、ということを認識すれば、自然にその言葉を発音する場合にためらいを感じるようになるはずです。そして、「city」をうっかり「シティ」と発音することがなくなります。つまり、「頭ではcityの正しい発音が分かっているが、実際に英語を話す際に、うっかりしてしまう」という事態を克服できるわけです。

そのために、この「shitty」という俗語の入った例文を、感情を込めて何度も発音してみることを提唱します。覚えるべき「city」の正しい発音を練習する、という方法の逆をいくわけです。あえて「シティ」(shitty)と悪い方を練習するのですね。

この目的で、ChatGPTに例文を作ってもらいました。これらの英文を、罵りの感情を込めて、ぜひ何度も繰り返し言ってみてください。そうすることにより、shittyという単語が下品である、ということが認識でき、「city」を「シティ」(shitty)と発音することが、非常に恥ずかしい、というネイティブの感覚を体得することができます。こうなれば、もう「うっかり」ということがなくなります。

以下、英文です。あえてインパクトのあるお下品な文にしてあります。ぜひ、感情を込めて大声で練習してみてください。ただし、その際は、周りに人がいない場所で行うようにしてください(笑)。これらの英文はあくまで教育目的です。

■ “Shitty”を使った例文(感情を込めて練習できるもの)
Don’t make me do such a shitty job!
(こんなひどい仕事をやらせないでくれよ!)

It was a shitty day from start to finish.
(一日中、最悪な日だったよ。)

He gave me some shitty excuse for being late.
(彼は遅刻のくだらない言い訳をしてきた。)

I feel shitty about how I treated her.
(彼女への態度を思い出すと、自分が情けなくなるよ。)

That movie had a great cast, but the story was pretty shitty.
(俳優はよかったけど、ストーリーはかなりひどかった。)

What a shitty way to end the week!
(週の終わりにこんなひどいことってある!?)

He’s always in a shitty mood on Mondays.
(彼はいつも月曜になると機嫌が悪い。)

This coffee tastes shitty. Are you sure it’s fresh?
(このコーヒー、まずすぎるよ。これ本当に新しいの?)

She’s going through some really shitty times right now.
(彼女は今、本当に辛い時期を過ごしてるんだ。)

I know it sounds shitty, but I just forgot your birthday.
(ひどい話に聞こえるだろうけど、君の誕生日をうっかり忘れてたんだ。)

 

■ より罵倒的・下品な“shitty”の例文(学習者の意識に強く残るもの)
You’re such a shitty friend. I can’t believe you ditched me like that.
(お前って本当にクソみたいな友達だな。あんなふうに置き去りにするなんて。)

This is the shittiest meal I’ve ever had. Did a dog cook this?
(これ人生で一番まずい飯だわ。犬でも作ったのかよ。)

He talks big, but his work is always shitty and half-assed.
(偉そうなこと言ってるけど、あいつの仕事はいつもクソで適当だ。)

That shitty boss of mine doesn’t know a damn thing but still acts like a king.
(あのクソ上司、何にもわかってないくせに、王様気取りしやがって。)

What kind of shitty attitude is that? Show some respect!
(なんだそのクソみたいな態度は?少しは敬意を払えよ!)

She dumped me over text. What a shitty way to end things.
(彼女、メールで別れたんだぜ。なんてクソみたいな終わらせ方だよ。)

That was a shitty thing to say. You seriously crossed the line.
(今のはマジでひどい発言だぞ。完全に一線越えてるからな。)

This party is so shitty, even the music sounds like it’s given up.
(このパーティー、クソすぎる。音楽ですら諦めムード出てるわ。)

If you think that’s funny, you’ve got a shitty sense of humor.
(それが面白いと思うなら、お前のユーモアセンスは最悪だな。)

I don’t need your shitty advice. You’ve messed up your own life already.
(お前のクソみたいなアドバイスなんか要らねぇよ。自分の人生すでに台無しだろ。)

 

これらの文を覚えてしまうほど繰り返し練習してみてください。こうして「shitty」(シティ)という単語が身につくと、これまで自分がしょっちゅう英語で「クソみたいな」と言い続けてきたか、が実感でき恥ずかしくなります。

そうすることにより、英語で「city」を言うつもりで、うっかりカタカナの「シティ」と発音してしまう、というミスがなくなり、矯正完成です。

最後に一言。みなさん、我々が「シティ」と言うと、英語ネイティブには、これが毎回「クソ」と聞こえています。これはまじめな外国語学習者の発音を悪趣味にあげつらっているわけではありません。

英語ネイティブも、日本人が「シティ」と言うのは単なる発音ミスだ、ということはわかっています。ただ頭でわかっていても、そういう音なので、どうしてもそのように聞こえてしまうのです。これは、単にそういう事実がある、ということなのです。

発音なんか悪くったっていいだろ、と開き直っていいのは、「英語とは無関係の何かの分野のすごく偉い人」か、逆に「片言英語をかわいく話すおバカキャラで通す人」のどちらかです。

別にすべての人が英語を学ばなければならないわけではありません。しかし、学ぶのであれば、我々普通の人が、普通に仕事で使える程度以上の英語を目指す場合、やはり一定以上の発音は、謙虚に学ぶべきだと私は思います。