実務質疑のモデル会話をChat-GPTで作成してみた

全国通訳案内士試験二次口述の課題に「実務質疑」(シチュエーション問題)があります。

これは、2018年度から導入された新課題であり、先行する「通訳課題」(外国語訳)の話題に関して、外国人観光客と通訳ガイドのロールプレイ会話を、試験委員と受験者の間で行わせる、というものです。

その内容は「新・面接再現動画」を見ていただければ、すぐに把握できます。

導入初年度の2018年度以来、直近の昨年度(2022年度)まで、すでに5年分の過去問が蓄積しています。それらの問題再現と解答例は、書籍『過去問詳解』に掲載されています。

動画で見てわかるように、この実務質疑課題は「質疑」(会話)の形で展開されます。しかし『過去問詳解』の解答例は、会話形にしておりません。これは、会話とはその場の空気により流れるものであり、固定されたものではないから、というのが理由です。

個人レッスンを受けていただく方には、この旨を説明し、会話形の演習を行っていただいています。ただ、書籍だけで自習されている方の中には、この「会話」の形で英語会話を展開していくことのイメージがつきにくい方がおられるかと思います。

そこで、今話題のChat-GPTを使って、実務質疑のモデル会話を作成してみました。

結構、参考にしていただけそうなものができました。実務質疑の会話の流れ方がイメージできない、という方は、『過去問詳解』の情報をもとに、同じように会話文を作ってみるのも有効な勉強になるかと思います(ただし、『過去問詳解』の情報を元に生成した文章は、個人使用の範囲に限るようお願いします)。

今回、問題は、2021年度の時間帯2-①「刺青と公衆浴場」を用いました(掲載書籍は『2020-21過去問詳解ダイジェスト』)。

◆問題文

【シチュエーション】

両腕にタトゥーのある外国人観光客が、温泉に入りたいと言っています。全国通訳案内士としてどう対応しますか。

【条件】
お客さまは40代男性で、個人旅行。日本は初めてです。旅行は10日間の予定です。

◆モデル質疑

Customer: I’m so excited today because we’re going to visit an onsen facility. Is everything in order?

Tour Guide: Thank you for your excitement! I’m glad you’re looking forward to visiting an onsen facility. However, I must inform you that there might be some restrictions regarding your visit. You see, many onsen facilities in Japan have a policy of not allowing entry to people with tattoos.

Customer (surprised): Oh, I didn’t know about that. Why is that?

Tour Guide: The policy is based on cultural attitudes. In Japan, tattoos are often associated with organized crime, and many Japanese feel uncomfortable or nervous around people with visible tattoos. Although there are cultural differences, onsen facility operators have to consider these concerns.

Customer: I understand. So, what can we do?

Tour Guide: With the increasing number of visitors from different cultures, some onsen facilities are becoming more flexible. For example, there are facilities that allow entry if tattoos can be covered with special stickers. These stickers are specifically designed to conceal tattoos.

Customer: That’s interesting. Are there any other options?

Tour Guide: Yes, indeed. Some facilities have introduced a special bathing attire called yuami-gi. It’s a loose garment that covers the bather’s body. Although yuami-gi were not originally meant to hide tattoos, some facilities accept guests with tattoos if the tattoos are covered under the yuami-gi. However, I must mention that only a few facilities have introduced yuami-gi, and whether wearing them is mandatory or optional depends on each facility.

Customer: I see. So, what should we do now?

Tour Guide: I will personally check the policies of prospective facilities and see which ones are accommodating towards guests with tattoos. I’ll provide you with the results and suggest the best options for you. Is that okay?

Customer: Yes, please do. I appreciate your help.

Tour Guide: Thank you for your understanding. I’ll do my best to find suitable onsen facilities for you. Please give me some time, and I’ll get back to you shortly.

◆モデル質疑の和訳

お客さま:今日は温泉施設を訪れるのがとても楽しみです。準備は整っていますか?

通訳案内士:楽しみにしてくれてありがとうございます!温泉施設を訪れることに関して、お知らせしなければならない制約があります。実は、多くの温泉施設ではタトゥーのある方の入場を許可しないというポリシーがあります。

お客さま(驚いて):それは知りませんでした。なぜそうなのですか?

通訳案内士:このポリシーは文化的な態度に基づいています。日本では、タトゥーは暴力団と関連づけられることが多く、タトゥーのある人を見ると多くの日本人が不快感や不安を感じることがあります。文化の違いはあるものの、温泉施設の運営者はこうした懸念を考慮しなければなりません。

お客さま:なるほど、理解しました。では、どうすればよいのでしょうか?

通訳案内士:異文化からの訪問者が増えていることから、一部の温泉施設では柔軟な対応をしています。例えば、特別なステッカーでタトゥーを隠せば入場を許可している施設もあります。

お客さま:それは興味深いですね。他にはどんな選択肢があるのでしょうか?

通訳案内士:そうですね。一部の施設では「湯煙着(ゆあみぎ)」と呼ばれる特別な浴衣が導入されています。これは体を覆うゆったりとした衣服です。湯煙着は元々タトゥーを隠すためのものではありませんでしたが、一部の施設ではタトゥーを隠すために湯煙着を着用しているゲストを受け入れています。ただし、湯煙着を着用する必要があるかどうか、または任意かどうかは施設によって異なります。

お客さま:なるほど。では、今はどうすればいいですか?

通訳案内士:私が候補となる施設のポリシーを確認し、タトゥーをお持ちの方に対応可能な施設を見つけます。結果をお知らせし、最適な選択肢を提案いたします。よろしいですか?

お客さま:はい、お願いします。助けていただけることに感謝します。

通訳案内士:ご理解いただき、ありがとうございます。適切な温泉施設を見つけるために最善の努力をします。少々お時間をいただきますので、しばらくお待ちください。