世界史学習(2)

世界史的な視点を持つと、日本的事物の紹介にもぐっと説得力が増します。例を紹介しましょう。

全国通訳案内士試験二次口述プレゼンテーションにおいて、「鎖国」は2014年度と2020年度の2回出題されています。私は、この2回とも別バージョンの解答例を作成しました。

鎖国は、キリスト教禁止がその主目的ですので、説明には世界史的観点が必須です。この点は、両方のバージョンの解答例で当然、触れられています。

ただ、私は2回目の2020年度の解答例を作成した際には、少しだけ世界史の理解も進んでいましたので、プレゼンの中に「大航海時代」「宗教改革」「産業革命」という概念を使い、より簡潔にかつ深く説明をすることができました。

『モデル・プレゼンテーション集 過去問編13』から引用します。

With 16th-century Europe in the Age of Discovery and the Reformation, Portuguese and Spanish visited Japan for trade and the promulgation of Christianity. While trade was attractive for Japanese warlords, Christianity was a threat.

(16世紀のヨーロッパは、大航海時代と宗教改革の中にあり、ポルトガル人やスペイン人が、交易とキリスト教の布教を目的に、日本へ来航しました。日本の戦国大名にとって、交易は魅力的でしたが、キリスト教は脅威でした。)

⇒宗教改革が鎖国の要因の1つとなった、というのは、ヨーロッパで新教が起こったことにより、旧教の勢力が海外に布教を求めるきっかけになった、ということを表しています。反宗教改革のことですね。

Having succeeded in unifying the country in the early 17th century, the Edo Shogunate decided to sever relations with all European nations except Holland, a Protestant nation which agreed to trade without proselytizing.

(17世紀初頭に天下統一を果たした江戸幕府は、オランダを除くすべてのヨーロッパ諸国と断交することを決定しました。オランダが例外だったのは、オランダが新教国であり、布教なしに交易をすることに同意したからです。)

⇒新教は旧教に比べて、経済活動に好意的な考えをします。イエズス会などの旧教勢力にとっては、布教が目的で交易は手段であったのに対し、新教は両者を切り離すことができるのですね。新教が資本主義発展の精神的支柱になった、という話はマックス・ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』で有名になりました。

Sakoku came to an end in the mid-19th century, when Western powers, fueled by the Industrial Revolution, forced Japan to abandon it. Recognizing that Japan was also a part of the world, the entire nation worked to catch up with the West—a successful effort called the Meiji Restoration, which ended feudalism and began the modernization of Japan.

(鎖国は、19世紀中ごろ、産業革命によって力を得た欧米列強が日本に対し、鎖国を廃止するよう強制したことで終焉を迎えます。日本もまた世界の一部である、ということを再認識した日本は、国をあげて欧米に追い付く努力をし、封建制を終わらせ日本の近代化を始めました。この取組は明治維新と呼ばれており、成功をおさめました。)

⇒日本が鎖国を放棄したのは、産業革命により実現した圧倒的な軍事力の差によるものです。このように、鎖国の説明には、宗教改革、大航海時代、資本主義の発達、産業革命、といった世界史の流れが関連しているのですね。

こんな具合で、私は今年は世界史の勉強を続け、教材のさらなる充実に資することを新年の抱負としました。

皆さんの新年の抱負は何ですか?

今年もよろしくお願いします。