実務質疑:口火の切り方

先の記事では、実務質疑(シチュエーション)では、受験者が会話を弾ませるべく「ネイティブに対して」気を使わなければならない、超高度な英会話である、というお話をいたしました。

実務質疑の会話をうまく流れに乗せるためには、出だしが肝心です。

面接再現動画を見ればわかるように、実務質疑はまず30秒間、問題用紙を受験者が読んで準備をした後、試験委員の合図によって開始されます。その際、何と言ってどのように口火を切るのか、ということですね。

まず、実務質疑の出だしには、(1) 試験委員の方から口火を切るパターン(面接再現動画では、試験委員のMr. Examiner が口火を切っています)と、(2) 受験者の方から口火を切る(試験委員から促される)パターンの2種類があります。

(1) 試験委員の方から口火を切るパターン

この場合は、試験委員の言うことに適宜応じていけばいいので、比較的ラクかもしれません。

試験委員から話しかける場合、いろいろな形が考えられます。これに答える際に受験者が心がけるべきは、①相手に寄り沿う形で、②丁寧な表現を用いる、という点です。

たとえば “I see the problem, sir.” “I understand, ma’am.” “I appreciate your interest, sir.” のような表現です。

これまで、英会話の先生(フレンドリーな人が多いでしょう)に対して “sir” などと呼びかけたことはあまりないかもしれませんが、実務質疑では、あえて使うことをお勧めします。

お勧めする理由は、①自らのモードチェンジに役立つ(「モードチェンジ」の意味については、二次口述特別動画セミナーの「第5講 実務質疑」)、②丁寧な表現が使える受験者は良い意味で目立つ、③丁寧な表現を使われて悪い気がする人はいない、の3つです。

(2) 受験者の方から口火を切る(試験委員から促される)パターン

この場合、まさに会話の「出だし」を受験者が担当することになります。これもいろいろありえますが、まごつかないことが大切です。

たとえば2018年度 時間帯6で「半日ツアーでまわりきれない」という問題が出ています。

この場合、「お客さま、本日の半日ツアーに関してですが…」(Regarding today’s half a day tour, sir,…)と話しかければよさそうです。

実務質疑では、アウトプット(演習)が大切ですが、やはりその前提として、こうしたインプットも必要です。そして、その内容は過去問から学べます。

知識に基づき、お客さまに対する言葉を使い、かつ、ノリよく会話する必要がある、実務質疑は本当に難しい課題です。

過去問を見て「この場合なら、どんなふうに会話が開始・展開されるのかな」と考えてみてはいかがでしょうか。

▶PEPニュース
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