試験の「お約束」

こんにちは。杉森です。

全国通訳案内士試験には「お約束」があります。お約束とは、別の言葉で言えば「ルール」とか、「要件」ということです。

たとえば、二次口述の通訳課題で「1分以内に訳を終了するように」というのは「お約束」です。お約束を守ると合格に繋がり、逆に、お約束を破ると、不合格に繋がります。

ただ、お約束にもいろいろなレベルがあります。お約束を守れなかった場合に罪が重いものと、軽いものです。

軽いものなら、部分的な減点で済みますが、重いものは、それだけで一発アウトになることもあります。では、「お約束」違反の軽重は、どのように決まるのでしょうか。

罪が軽いものは、「その受験者の能力不足が原因のもの」です。たとえば、上述の「1分以内に訳出完了」という要件は、通訳の実力が足りない場合には、いくら頑張っても充足できない場合があるでしょう。このような場合は、部分減点に留めてもらえます。

一方、罪が重いものは、「その受験者の『誠意』が足りないもの」です。

たとえば、プレゼン課題で「最初に選んだタイトルを英語で言って、プレゼンを始めてください」というルールがあります。これを言わずにプレゼンを始めるのは、罪が重くなります。

なぜなら、”I’d like to talk about Kyoto.” と言ってプレゼンを始めるのには、高い能力は要らない、真面目に試験官の指示に従う、という意思さえあれば誰でもできるのに、これをやらなかった、ということになるからです。

試験に合格する人は、後者の要件(破ると罪が重いが、誠意さえあれば簡単にクリアできるもの)をキッチリと100%こなした上で、前者の要件(能力により差が出るもの)をどこまでクリアできるか、で勝負する人です。

“I’d like to talk about…” の正しい言い方を解説したYouTube動画

プレゼン開始の際のトピック告知を忘れないようにする、などは基本中の基本であり、これをミスることは少ないと思いますが、これに準じて、汎用性の高い英語表現をきちんと言えること、なども重要です。

たとえば、プレゼンの締めくくりの言葉でよく用いられるものに “I hope you find this information helpful. Thank you.” というのがあります。

こういう汎用性の高い表現は、反射的に完璧に言えるよう、繰り返し練習して試験に臨むべきです。現場では、頭を使わずに(「これは第5文型SVOCだから…」と現場で考えているようではダメ)正確に言えるように準備をしておくのです。

こういう決まり文句でミスをすると印象が悪いし、逆にキチンと言えれば、『誠意』がある、真面目に勉強した、ということが伝わるのです。これが合格への第1歩です。

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