プレゼンの勉強法 総論・各論1(インプット編)

 

今回は、二次口述プレゼンの勉強法をシェアしたいと思います。

まず総論ですが、学習はインプット⇒アウトプットから成ります。

インプットは、①理論の理解と②知識の増強、から成ります。①は講義等を聞くのが効果的です。②は書籍等に向き合う時間がかかります。

アウトプットは、①演習と②フィードバックを得て反映、の繰り返しです。①はある程度なら意思次第で一人でもできます。②の場合、改善点は自分では必ずしもよくわからないので、コーチしてくれる人がいると理想的です。

今日は、各論1としてインプットについてより詳しく述べます。
まず、①理論の理解です。プレゼンの理論については、書籍『全国通訳案内士試験二次口述過去問詳解』や毎夏恒例の「特別セミナー」などで述べていますが、簡単に言うと「試験の趣旨(観光ガイドの視点)に則ったパターンを理解する」ということです。

私はいつも言っていますが、パターンすなわち安直、とするのは間違いです。コミュニケーションに共通の「型」が存在するのは当然のこと。俳句だって、五七五のパターンで作ります。創造は型の中にあります。

さて、通訳ガイドのプレゼンの型については、前回、「障壁画」のプレゼンの解説で例を出しました(典型例ですが、これが唯一の型ではありません)。

1.導入部(約15秒)
①トピック告知(障壁画についてお話しいたします)
②定義(障壁画とは‥)
2.本体(約60+秒)
①由来・背景・一般説明
②具体例
3.結論(約15秒)
①まとめ・再抽象化(このように障壁画は‥)
②お勧め・結辞(どうぞ障壁画を鑑賞してみてください。ご清聴ありがとうございました)

この構成を使いこなすためには、2つのインプットが必要です。1つは、汎用表現を知ること、もう1つは、ネタ(具体的観光の知識)を仕入れること、です。時間が掛かるのは後者です。

まず1つめの汎用表現です。これは、次のような表現です。
(1) It literally means…(「文字通りには~という意味です」定義の部分でよく使う)
(2) One famous sightseeing spot is…(観光地の具体例・お勧めを挙げる際の前置き)
(3) If you are interested, I recommend…(具体例・お勧めを挙げる際の前置き)
(4) Please enjoy…. Thank you. (「ぜひ~をお楽しみください。どうもご清聴ありがとうございました」食べ物、体験などを説明した際の結辞)
(5) I hope you visit. Thank you. (「ぜひ訪れてみてください。どうもご清聴ありがとうございました」観光地を説明した際の結辞)
(6) I hope you give it a try. Thank you. (「ぜひ試してみてください。どうもご清聴ありがとうございました」食べ物や体験を説明した際の結辞)
(7) I hope this helps you appreciate Japanese history. Thank you. (「今回の私のお話で、皆さまが日本史をより理解していただけたのであれば幸いです。どうもご清聴ありがとうございました」日本史関連事項を説明した際の結辞)
(8) I hope you find this information helpful. Thank you. (「今回の私のお話が参考になれば幸いです。どうもご清聴ありがとうございました」どんなトピックにも使える万能の結辞)

他にもありますが、無限にあるわけではありません。『モデル・プレゼンテーション集』などで、「あっ、この部分は汎用だ」というのがあったら、マークしてみてください。

次に2つめの「ネタ」(具体的観光の知識)です。これは分量が多く、覚えるのに時間が掛かります。たとえば「東大寺」「金閣寺」「寿司」「祇園祭」「戦国時代」等々の日本的事物の一般説明のことです。

こうした「ネタ」を仕込んでおくと、これをパターンに組み入れることにより、さまざまな出題に対応できるようになります。たとえば、「奈良」というトピックで出題されたとします。その場合の構成は

1.導入
私は、奈良についてお話しいたします。
奈良は日本の古都です。古い歴史があり、神社仏閣がたくさんあります。
2.本体
有名な観光地(寺社仏閣)として、~があります。~は…。
3.結論
このように奈良は魅力ある古都です。ぜひ訪れてみてください。ご清聴ありがとうございました。

このように、パターンを使えば、お題を見た瞬間に全体の構成が自動的に決まります。自動的に決まった部分は、「汎用表現」で言うことができます。そして、本体の「~」の部分に仕込んでおいた「東大寺」のネタをはめ込めば、即興2分プレゼンが出来上がります。

この「ネタ」は、時間的には1分話せれば十分です。試験までの間に、できるだけこの「1分ネタ」をたくさん仕込んでおく、というのがプレゼン準備のインプットの中核です。

この「ネタ」は、各種のテキストにあります。ただそれらは、必ずしも「1分」にはなっていませんので、自分である程度編集する必要があります。

まとめる際の着眼点としては、①「過去」と②「現在」を1つずつ入れる、と考えるとよいでしょう。

たとえば、上の「東大寺」でしたら、
①過去(由来、歴史)
東大寺は、8世紀に聖武天皇によって建立されました。当時は、飢饉、疫病、政争などで国が乱れていたので、国家の安寧を祈る趣旨で東大寺が建てられたのです。
②現在(見所)
有名なのが、大仏とそれを安置する大仏殿です。大仏は…。大仏殿は…

のようになります。

次回は「各論2アウトプット」をお送りする予定です。お楽しみに。

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1. 犬山城 2. 中秋の名月 3. (新)国立競技場 4. 里山 5. 七福神 6. わらび餅 7. IR(統合型リゾート) 8. 流鏑馬 9. 南部鉄器 10. 酉の市 11. かっぱ巻き 12. 五島列島 13. 彼岸 14. 高齢者マーク 15. 道後温泉 16. 五稜郭 17. 森林浴 18. 障壁画