合格後を考える(1)

今回は、先日の全国通訳案内士試験最終合格発表を受け、この資格を取得した後、何をなすべきか、ということを数回に分けて考えてみたいと思います。

まずそもそも、この試験を受けよう、と考える人は、どういう目的でこの資格取得を目指すのでしょうか。

全国通訳案内士国家資格は、外国人観光客に付き添い、外国語を用いて有料の観光ガイドをする業務に就くための資格です。

この点、たしかに資格による業務独占は2018年に廃止され、法律上はこの資格がなくてもガイド業務を営むことが可能になりました。

しかし、実際は、この資格を持っていない新人ガイドが仕事を獲得する、ということは困難であり、事実上、ガイドの仕事をするために、この資格の取得はマストであると考えてよいでしょう。

よって、受験の動機の1つとして、プロの通訳ガイドになりたいから、というものがあるのは当然です。

一方で、かなり多くの方が、将来何らかの形でガイドをすることを視野に入れながらも、語学力や教養の向上を主目的として、この資格を目指されます。

さて、そうすると、めでたくこの試験に合格された人が合格後になすべきことは、①資格を生かして通訳ガイドになる(アウトプットして稼ぐ)、②さらなる語学力・教養の向上を目指し、勉強を続ける(インプットのため投資する)、③両者の中間(ボランティアガイドなどで楽しみ、楽しませ、自ら学ぶ)の3つになります。

このうち、②は比較的簡単です。自分が学びたいことは、自分が一番よく知っているはずからです。私がお勧めするとすれば、日本の他の語学系資格試験(英検1級・TOEIC900オーバー等)を目指す、あるいは本格的な会議通訳術(同時通訳など)を学ぶ、などです。

③は、現在、外国人観光客が少ないので難しいかもしれませんが、お金をもらうことを目指していないので、こちらもそれほどの困難はないでしょう。

問題は①です。これは仕事をする、ということですから、顧客という相手がいます。よって、心の赴くままでよい、というわけにはいきません。では、この資格で仕事をするためには、何をするべきでしょうか。これを次回、考えてみたいと思います。
(つづく)