マイナンバーカードとマイナンバー

ご存知の方もおられると思いますが、2020年度の全国通訳案内士試験二次口述のプレゼンテーション課題で、「マイナンバーカード」が出題されています。

私は現在、解答例と解説を作っているのですが、その過程でいろいろ調べていくうちに、これまで私もよくわかっていなかった「マイナンバーカード」や「マイナンバー」について理解できてきた気がするので、これをシェアしたいと思います。

まず、「マイナンバーカード」「マイナンバー」というのは通称で、正式名は「個人番号カード」「個人番号」といいます。この制度の目的は、さまざまな行政手続を効率化させることですね。

この制度のメリットについては、政府が宣伝をしているので、皆さまお馴染みかと思います。政府は、マイナカードの普及を目指しています。

もっとも、マイナンバーカードの取得は強制ではなく任意となっており、普及のためにマイナポイントの付与や利用目的の増加などを行ってきたものの、普及率は政府が予定していたほどには高まっていないようです。

メリットがあるにもかかわらず、普及しないのは、国民がデメリットがあると思っているからでしょう。国民が感じているデメリットは、主として、①政府による個人情報収集に対する懸念、②個人情報の流出することに対する懸念、の2つだと思います。

この点を考えるにあたっては、「マイナンバーカード」と「マイナンバー」を分けて考えるのが分かりやすいと思います。

まず、懸念①政府による個人情報収集に対する懸念、についてですが、これは基本的に「マイナンバーカード」の問題ではなく、「マイナンバー」制度の問題です。確かにマイナンバー制度により、国民の個人情報を政府が管理しやすくなります。現状ではいろいろ制限が掛かっていますが、これが将来緩和される可能性もあります。

しかし、マイナンバー制度は既に実施されているものであり、現実として、国民は好むと好まざるとにかかわらず、全てマイナンバーを付けられて管理されています。マイナンバー「カード」を取得したがために、何か特定の個人情報が余計に国へ知られるわけではありません(「当該個人はカードを取得した」という事実が知られるだけ)。

国家による個人情報に反対する趣旨でマイナンバー制度に反対する人が、マイナンバー「カード」を取得しない、というのは、せいぜい「マイナンバー制度の普及に協力しない」という態度表明、という消極的な意味しか持たないといえます。

逆に、マイナンバー制度には反対だが、現実に実施されている以上、マイナンバーカードは取得して利便性を享受する、というのも矛盾とまではいえず、現実的態度といえます。

次に、②個人情報の流出することに対する懸念、についてですが、第三者のなりすまし等に対するセキュリティについては、マイナンバーカードは比較的安全だといわれています。もっともカード自体を失くしてしまった場合のリスクはゼロではありませんが、これはクレジットカードや免許証も同じです。

こうしてみると、総合的には、マイナンバーカードは作った方が得、と私には思えます。皆さんはどうお考えですか?